うしなう

私に放浪癖があるのも、タバコの匂いが好きなのも、適当な絵を書くのが好きなのも、理屈っぽいのも、ものぐさなのも、この人の影響だと思っている愛する人が、とうとう入院したという。詳細はわからない。けど、疲れちゃったんだと思う。早く会いに行きたい。

彼は大学に行き、役所に勤め出した。かわいい彼女を見つけた。

幸せ！と大声でいえるかわからないような幸せが、確かに存在してたはず。

その彼女と結婚しようと思った時に、家族からの反対にあう。バカだと思うのだけど、ここで彼は結婚をあきらめた。反対の理由が酷いのでここでは言えないけれど。彼はバカ。駆け落ちしてでも彼女を守ればよかったのに。

そのあとにであった無難な女と結婚したが、うまくいかなくて離婚した。子供がいなかったのが唯一の救い。

そこからは彼の自由の無駄遣いがはじまる。というか、なにかが壊れちゃったんだろう。彼は仕事をやめた。体力的に辛い仕事に転がり込んで、つらくなったら、逃亡するようになった。逃亡中は全く連絡がとれないので、みんな心配して、怒った。

彼は優しかった。やさしいひとは失うものも多いのかな。いろんなとこに連れてってくれたりした。タバコをどんどんすって、どんどんお酒飲んで。ふざけていて好きだった。

なんで入院したのかおしえてくれなかった。携帯も止まってる。やだな。

案外、大切な人がどんどんふえていってるから、こわい。な。