hoho!

みえないものをさわる

ジセイ

一年半、教えてきた女の子。ふわっふわな女の子。

彼女はいつも、現在形だ。過去、未来、を行き来出来ないらしく、いつも、動詞が、現在形だ。(三単現は無視)
いつも、いつも、口酸っぱく、「時制に注意」「時制にきをつけるのよ!」と、言って注意を喚起してきた。そう、一年半。そのたびに彼女は言った。「うんっ。時制だよねっ。気をつけるよーせんせい」with ア スマイル ライク アン エンジェル。
早いことに彼女も本日、高校受験。まあヘマをしないかぎりは受かるだろうけれど、問題はそこではない。先日の最後の授業で思わぬ事実が発覚した。

「じゃあいつも、言ってるように、時制に注意するんだよ」
「大丈夫だよー、先生、受験なんだからー時制するに決まってるじゃん」
「うんうん‥‥‥?!時制するって?」
「え?ジセイ、するよ?」
「ジセイする‥‥‥‥」
「ちゃんと、やりたいこと我慢して、勉強するよっ。」
「。。」

彼女に問いただすと、一年半、わたしが繰り返し説いた「時制」はすべて「自制」だと彼女は確信、疑わなかったとのこと。
わたしの一年半はすべて、セルフコントロールに捧げられた。自制。悪くない。だからか。彼女がいっこうに時制に注意を払わなかったのは。


この事柄の悔しさそして滑稽さが、わたしの稚拙な文章では伝えられないのが、悔しいです。