LINEN
なべをみがいてこげをおとす
水を流しながら
鈍く光っていく銀色に
すこしずつうつる姿
てのひらに黒いこげ
知らない間に移っている
水は流れてる
ぐんと寒くなった
空気は熱を失って
そこに吹く風が体を冷やす
季節が変わるごとに
住まいを変えた
移っているだけ
なにも変わらずに
居場所を変え
そこにあるものに息をのみ
流れる水に洗われて
過ぎ行くものに目を奪われ
過ぎ行かないものに耐え
水の流れを感じなくなった頃
また移っていく
大事なもの、いらないもの
みつけているようで
わからなくて
あれもこれも
時間のせいにして
身震いしたからだを
あたためてくれる太陽と
お気に入りのリネンと
体力の限界に頼って生きる