はたらくひと
家の近くで、ずうっと工事が続いてる。
ガードマンが、立っている。
わたしは毎朝、犬を連れて散歩で通る。
大切な仕事の朝、駆け足にストッキングで通り過ぎる
お休みの朝、パジャマのうえからコートを羽織って、髪は、ぼさぼさ
雪の日、心なしか明るい面持ちでわざと垂直に雪をふむ
雨の日、傘に顔を隠して猫背で進む
泣きながら、マフラーに顔を隠して、睨みつける
会釈を、ひとつ、
聞こえるか聞こえないかの挨拶を、ふたつ。
あのガードマンは、波のあるわたしを知ってる。
忠実について歩く、犬も、共に。