よしこなんてよばないで、
さっきから いいたいことが うかんでは きえ うかんでは きえ してて、まるで 焦らしプレイで 吐きそうだ
今日はね、プリントをコピーしてたらさみしがりやの女の子から、ぽっけに手を突っ込みながら困った顔でこう呟かれたよ。
「ねぇ、きょーちゃん、もってる?」
はじめはなんのことかさっぱりわからなくて、聞き返そうかと思ったんだけど、何かしら彼女の表情から読み取らなくちゃと考え直して、彼女の瞳を見つめ返したんだ。
そしたら彼女は
「もってないか、困ったなぁ、、」
って言ってぐるぐる回りだしたの。わたしの何をみて、それをもってないってわかったのか、わからなかったけど、きっと彼女はもともと、わたしがそれをもっているなんて考えてなかったみたい、
「困ったなぁ、」
困った様子の彼女(常々彼女は相談事が好きなのでよく見る光景ではあるのだけど)を横目で見ながらわたしは、彼女がわたしに求めていたものを一生懸命考えたんだ
そしたら ふと思い付いたの
そして、もしそれが正解なら(ほぼ間違いない自信がありました)わたしはそれを鞄にもっていることにも気づいたのです
一瞬 手をとめて口を開こうとしたけど、やはりやめて、わたしは困っている彼女をそのままにしておいたよ
彼女はまわりながらわたしにまだなにか話しかけていたんだけどわたしの耳には全く入ってこなかった
何故かって
わたしは彼女の探し物の正体がわかってしまってぞっとしたからなんだ
急いでコピーを終わらせて彼女にごめんねを言って、その場を立ち去ったけど、わたしの心のもやもやはまだ消えない。きっと眠りにつくまで、纏わりつくのだろうな。
ふしぎな、人間社会。